「被害者、いじめられる側にも問題がある」。
このような意見に見られる「公正世界仮説」について解説。
意味や事例、問題点について解説。ぜひ、最後までお読みください。
公正世界仮説とは?
人の行いにおいて、結果はそれに見合ったものが返ってくる、と考える信念。
人は誰しも自分が住む世界が危険で、不安になるような世界であって欲しくない。
理由もなく暴力を振るわれたり、物を盗まれるなど、理不尽な出来事に遭いたくないから。
公正世界仮説の基本的な思考
- 世界が平等で公正である
- 行動と成果が釣り合う(努力が報われる)
- 未来は自分の行動次第(コントロール可能)
世界が「平等で公正」なら、「将来は不安や危険に満ち溢れている」と、警戒しないですむ。
将来もポジティブな出来事に溢れ、期待を寄せることができる。
世界公正仮説のメリットは以下の5つ。
- 心の安定につながる
- 主観的な幸福感、生活満足度が高まる
- 抑うつ的な感情の減少
- 目標に向けて努力する傾向が高まる
- 外向性、協調性が高まる
【公正世界仮説】問題点
問題となるのは、理不尽や不合理な出来事と出会ったとき。(世界の安定が崩れたとき)
世の中の理不尽や不合理を認める
それでは、世の中が公正で安全ではなくなる
被害者に落ち度やそうなるだけの納得できる理由がある
もしそうなら、自分が蒔いた種であり、公正世界仮説を維持できる
× 現実や世界は理不尽なもの、不合理なもの。
○ 犠牲者本人がそのような事態になる理由がある。
このような論証に基づかない誤謬を起こします。
- 天罰、因果応報
- そんな格好で夜に出歩くから
- 前世の行いが悪かったから
例えば、上記。
そして、犠牲者本人に何か非があるような、被害者非難につながります。
度を越すと、自己責任論や差別、偏見につながるでしょう。
このような人は、相手に対して状況や環境などの外的要因ではなく、性格や気質などの内的要因を過大に評価しているともいえます。
第三者の立場なら、被害者の苦しむ様子を見て何もできない自分を正当化。
加害者当人であれば、原因を相手の落ち度とすることで、自分の行為を正当化します。
【公正世界仮説】まとめ
「努力が報われる」は、努力という苦痛を今現在行っている自分を正当化する。
「正義は勝つ」は、悪事が蔓延ると不安で、危険が潜む可能性を考えたくない。
公正世界仮説は1つの強力な思い込みですが、「将来はどうにもならない」と悲観的になることを防ぎます。
ただ被害者避難で相手を突き放すことは、物事の根本的な解決を放棄しています。
現状、問題に直面しているなら一緒に解決策を模索していく。そうすれば、自分も相手も前に向かって進んでいけます。
「世界は平等で公正である」を絵空事で終わらせるか、一歩でもそのようにしていくか。
具体的行動で、より自分にとって住みやすい生活を構築していきましょう。
では、また。