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【目標の大きな妨げ】モラル・ライセンシングとは?意味や対策について解説

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「今日はたくさん〇〇したから〇〇くらいなら大丈夫だろう」。

 

このような言い方に潜む「モラル・ライセンシング」について意味を解説。

 

その他、要因、パターン、対策について解説。ぜひ、最後までお読みください。

 

 

 

モラル・ライセンシングとは?

 

善い行いをしたあとに「これくらいの悪いことなら」と自分の中で許可を出し、善い行いが抑制されたり、悪い行いが促進されること。

 

モラルは道徳で、ライセンシングは許可を意味します。

 

別名を「モラル信任効果」と呼ぶ

 

  • たくさん運動したから、夜にデザート
  • 勉強したから、ゲームをする
  • 昨日は多忙だったから、今日はペースを落とす

 

例えば、上記。

 

厄介な点として、善い行いの具体的な記憶(行動)がなくても、

 

  • 善行を想像すること(Khan & Dhar, 2006)
  • 理想的な行動を主張すること(Tanner & Carlson, 2008)
  • 自分が過去にした道徳的行動について考える
  • 寛大な意思の表明

 

これだけで向社会的動機(誰かのための行動をする動機)が低下する可能性があり、利己的に行動することを許されると考える。

 

具体例として、ファストフードでサラダが選択肢(メニュー)に入っていること。

 

人は目標にふさわしい行動をとる機会が訪れただけでいい気分になり、実際に目標を達成したような満足感を覚えてしまう。

 

「ヘルシーな食べ物を注文しなくては」という決心が弱まり、「ジャンクフードを食べたい」という欲求が強まる。

 

他には「TO DOリストの作成」も満足感を覚えてしまう

 

【モラル・ライセンシング】要因

 

人は道徳的に善い人間でありたいと願う一方で、道徳や常識や社会規範に縛られず自由に生きたいというニーズが強い。

 

また、いくら自分のためになることでも、他人からそれを押し付けられるのは抵抗感を抱きます。

 

心理学用語で「心理的リアクタンス」と呼びます

 

「徳や常識や社会規範に縛られず自由に生きたい」という気持ちが強くなると、モラルライセンシングに陥る可能性が高くなります。

 

制限と自由の狭間

 

【モラル・ライセンシング】2つのパターン

 

「信用モデル」と「資格モデル」の2種類があります。

 

信用モデル

 

善行で道徳的な信用が口座に確立される(預金)

ラクをしたいときに口座から引き出す(引き出し)

悪行を行う権利を購入する

 

このモデルによれば、人は「許可を得た」と感じるとき、自分がこれからしようとしていることが悪いことと知ります。

 

しかし、残高が残ったままだと、「道から多少外れてもよいだろう」と感じます。

 

資格モデル

 

善行を積む(社会貢献など)で「これくらいならしていいだろう」という資格があると錯覚すること。

 

このモデルは、その後の行動の意味を自分で勝手に変えてしまいます。

 

善行で「罪を犯す権利がある」と感じるのではなく、その後の行動が罪を犯すものでないことが明確(あくまで自分の中で)になる。

 

このモデルでは、過去の実績が現在の行動に光を当てる重要な情報となる。

 

違い

 

2つの違いは後続の行動(悪い行い)に対する考え方が異なります。

 

信用モデルは対象行動に対し、悪いことをしているという自覚がある。

 

資格モデルはその資格で善悪の判断が曖昧になるので、罪の意識が低くなる

 

【モラル・ライセンシング】対策

 

究極的には習慣に落とし込んで「しないと気持ち悪くなる」状態まで持っていく。

 

そうすれば「ここでラクをしよう」という気持ちすら起きません。

 

その前にする対策は以下の3つ。

 

  • なぜを問う
  • 記録をつける
  • 量を決める

 

順番に見ていきます。

 

なぜを問う

 

「そもそも何のために行動しているのか」を自分に問う。自分の行動の目標や理由を再確認します。(長期的視点)

 

自分の中には、長期的な利益を優先したい(痩せる)と目先の満足を優先したい(お菓子を頬張る)の2つの欲求がある。

 

そして、モラルライセンシングは、目先の一時的な欲求を満たすために起こる。

 

そこで行動の目標や理由を再確認する癖をつけると、目先の欲求よりも長期的な目標達成に目を向けられ、モラルライセンシングを抑制できます。

 

理由は、自分を甘やかすような報酬についての感じ方が変わるから。いわゆる「ご褒美」が目標達成における脅威に見えます。

 

また、する理由を思い出すことで、目標に近づくためのチャンスを見逃しにくくなる。日常的に意識づけをしておくと「選択的注意」という効果も働きます。

 

記録をつける

 

理由は、「次の機会で本当に挽回できたか」を確認するため。

 

「次挽回すればいい」で挽回できた人の方が多かった研究は、私が知る限り今のところ知らない。

 

それは今「やらない理由」を考えるとき、来週の状況を鑑みないから。来週も同様に忙しいはずなのに。

 

出来ない自分が嫌でも可視化され、自分の中に罪悪感を作り出していきます。

 

量を決める

 

毎日「この時間、この量」を守っていきます。

 

行為そのものをやめてないのに効果があるのか

 

なぜ効果的かというと、「明日から、次から」が通用しなくなっていくから。

 

  • 繰り返すと、どんどん量が増えていき罪悪感が増す
  • 自分で課した目標がずっと守れないことに苦しんでいく
  • 「これから毎日する」となると、嫌でも長期的な視点になる

 

その他の効果は、上記。ただ「目標は自分でいかようにも変えられる」ので、目標設定の際には、人を巻き込むなどが必要です。

 

【モラルライセンシング】まとめ

 

モラルライセンシングとは、善い行いをしたあとに「これくらいの悪いことなら」と自分の中で許可を出し、善い行いが抑制されたり、悪い行いが促進されること。

 

そもそもモラルライセンシングは、自分のためになっているか、また他人からどれだけ悪く見られているか。

 

モラルライセンシング 善であることが悪であることを解放するとき

 

上の論文によると自分のためにはなり、印象操作としては、行為者が考えているほど効果的であるかどうかはまだわからないという結論。

 

個々人の興味関心に左右される

 

とはいえ、そもそも自分が下している「ラクをするための戦略」は道徳判断ではありません。

 

あくまで直観なので、説明を求められない限り、たとえ筋が通っていなくても問題ない。

 

自分自身をどう甘やかしているかの理解で、目標の道から離れずに進む方法を発見できます。

 

「ご褒美がないと動けないのか、その程度の目標なのか」。厳しいようですが、この自問が一番効きます。

 

では、また。

 

 

 

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