「〇〇するなんてマナーが悪い」。自分がしてしまったときは、同じように考えますか?
「やむをえない事情があったから」「道が混んでいたから」と言いますか?
その場合、あなたは根本的な帰属の誤りに陥っているかもしれません。
この記事では単語の意味、原因、対策について記載しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
根本的な帰属の誤りとは?
ある出来事の原因を、他者の場合は性格や特徴、思想など(内的要因)を重視し、自分の場合は環境や事情(外的要因)を重視すること。
帰属とは、物事の原因を何のせいにするかを考える心的過程です。
割り込みを見かけたときは、「横暴、自分勝手」(性格)と思う。
しかし、自分がした場合は、「やむをえない事情がある」「悪いのはわかっているが、急いでいる」(事情)と言う。
- 席を譲らないのを「思いやりがない」と思う(外的)
- 電車内での通話に「マナーが悪い」と思う(外的)
- テストで「出題範囲が悪い」と思う(内的)
例えば上記。
根本的な帰属の誤りに陥ると
- 評価が偏る
- 偏見に繋がる
- 言い逃れが多くなる(内省できないため)
上記のデメリットが考えられます。
【根本的帰属の誤り】原因
原因として考えられるのは以下の3点。
- 想像力不足
- 思考のショートカット
- 公正世界仮説
順番に見ていきます。
想像力不足
自分と他者では圧倒的に情報量に差があります。
自分のことは自分がよく知っているので、もちろん自分に原因を求めることも出来ます。
しかし、環境などの外部要因のせいにも原因を求めやすい。
他者の場合、置かれている状況は推測になります。そもそも把握していないかもしれません。
ならば原因を手っ取り早く説明できるのは、その人の性格(おっちょこちょい、短気)になります。
自分が「観察者」の場合、視界の中心にいるのは、出来事を起こしたその本人(周りの環境は注目がいきにくい)。
反対に自分が「行為者」である場合、視界には自分はおらず、周りの状況が広がります。
これが帰属先を分ける原因になります。
思考のショートカット
人を情報の大部分をいちいち感知せず、無意識に処理しています。
そのとき、「なぜその出来事が起きたのか」と状況や原因を考えるより、性格や気質(あの人おおざっぱだから、几帳面だから)と判断した方がラクです。
人に注目するか、世界に注目するかでは、後者の方が事情は複雑に絡み合っています。そして処理すべき情報量にも差が出てきます。
公正世界仮説
公正世界仮説とは、ある行いに対して、それにふさわしい結果が返ってくると思うこと。
良い行いには良い結果(努力が実を結ぶなど)が、悪い行いには悪い結果(罰せられるなど)と信じます。
世界が公正にできているには、しっかりと因果応報が機能しなければなりません。
その際、「たまたま状況がそうだった」と外部要因で説明できてしまえば、良い行いが悪い結果、悪い行いが良い結果になる可能性があります。
それを避けるため、外部要因を排除し、行動の原因をその人の性格や気質(怠け癖があるなど)を重視するようになります。
【根本的帰属の誤り】対策
根本的帰属の誤りに陥る原因が、情報量の不足にあるなら、その情報をできる限り、補填することに対処法があります。
大事なのは、視野を広げること。
- 同じ状況に自分がいたら、どのような行動をするか
- 本人以外で判断が難しい、原因が目立ちにくいものがないか
- シュミレート(模擬的に再現)する
上記を考えると、バイアスの影響を軽減できるでしょう。
【根本的帰属の誤り】まとめ
人のせいにできるならその方がラクですが、実生活で自分にも関わることなら、根本的解決になっていません。
自分にしろ、他人にしろ原因に対処しなければ、状況は好転しないでしょう。
内部要因、外部要因の両者を考えて「何が一番、その原因を引き起こしたか」を客観的に考える。
そこが解決のスタートになります。誤った原因特定では、効果が薄くなります。
根本的帰属の誤りとセットで押さえておきたい認知バイアスが「自己奉仕バイアス」。
こちらの方がより、自信過剰になりやすいといえるでしょう。よろしければどうぞ。
では、また。