どこかで聞いたことがあるけど
どういう意味だろう。
こんな疑問に答えます。
主に芸術やファッションの領域で取り上げられる概念ですが、実生活や身の回りの環境でも
身近に見られる概念です。
この記事では「引き算の美学」について
対となる「足し算の思考」などと合わせ、
具体的例を交えて紹介します。
引き算の美学とは?
一言でいうと
「目立たせたいものをより際立たせるために、必要ではないものを削ぎ落とすこと」
ここでポイントとなるのが
「目立たせたいもの」と「無駄」の2つ。
目立たせたいもの
「目立たせたいもの」は何より「事象」だけではありません。
※観察しうる形をとって現れる事柄。
「必要最小限」を突き詰めること。
これも「引き算の美学」といえます。
まず「事象」ですが、個人的に一番わかりやすい例が「THE FIRST TAKE」。
「1本のマイク」で歌声や抑揚を際立たせる。
「一発録り」で緊張感や臨場感を際立たせる。
音源とは違った世界観をお届けするコンセプトは
まさしく「引き算の美学」を体現しているといえます。
必要最小限は
「その物に一番求められるものは何か」
「最低限これだけあればいい」
この2つを追求していく姿勢です。
例として「abrAsus」という会社の財布を取り上げます。
私が使っている「小さな財布」は
手のひらサイズのコンパクトな財布を作るために
「無駄な隙間」を徹底的に排除しています。
カード収納数も10枚入るところを5枚にし、
「本当に必要なカード」を入れるスタイルを提案しています。
その上で使いやすさや最低限の収容力は犠牲にしない。
カードポケットを多くし、小銭スペースは大きくしようとすればできます。
また色彩を鮮やかにし、装飾も付け加えることもできるでしょう。
それでも「財布に求められる必要最小限」「これだけあればいい」
この姿勢を追求することで、カードサイズのコンパクトな財布を実現しています。
これもまさしく「引き算の美学」の1つといえます。
こちらの動画が参考になります。
無駄
ここでいう「無駄」は、
「あくまで要素として、今回は取り上げなかった」というもので
「切り捨てる、邪魔」という意味ではありません。
先の財布の例で削ぎ落とした「大容量、派手なデザイン」。
これらも考えると立派な財布の構成要素になりえます。
自分がその物において「何を妥協できて、何を求めるか」
ただ使えればいいといった姿勢ではなく、
「何を削ぎ落とすことができるか」
この姿勢が「引き算の美学」に通じます。
また「余白」という概念についても紹介します。
余白の概念は国宝である「松林図屛風」が説明に適しています。
(引用:東京国立博物館)
この作品を見てどうでしょう。
「木の間の余白は何だろうか?」
「余白はいるのだろうか?」
そう考えた方もいるでしょう。
この疑問が重要です。
一見するとこの余白は「無駄」かもしれません。
しかしこの余白に「山や茂み、空気の流れ」など付け足したものがあったとしたら、想像力が狭められると思いませんか?
この余白に何を感じるか?
鑑賞者の想像力に委ねることで、無限に広がる情景を思い浮かばせることができる。
あえて何も描かない(引き算)ことで、情景を描き出す(足し算)を体現しています。
「より少ないことは、より豊かである」に通ずる考え方です。
【引き算の美学】まとめ
引き算の美学とは
「目立たせたいものをより際立たせるために、必要ではないものを削ぎ落とすこと」
目立たせたいものは何も物だけではなく、必要最小限も含まれる。
無駄は決して邪魔というわけではなく、選択の結果であること。
そして余白も引き算の美学を体現するものである。
以上がこの記事で伝えたかったことです。
要素を足していく「足し算の美学」と対となる「引き算の美学」
いらないものを無くしていくことで、見えてくるものがある。
これは実生活にも当てはまります。
例えば時間管理。
今一度、Todoや予定などの「足し算」ではなく、
ルーティーンを見直し、削ぎ落とす「引き算」の思考をしてみる。
例えば支出管理。
無意識にサブスクを継続し、毎日コーヒーなどの嗜好品を買っていませんか?
「引き算の美学」は日々の暮らしでも役立つ考え方です。
頭の片隅にも意識してみてはいかがでしょうか?
では、また。