「何か起きたらどう責任をとるつもりか」
「でも危険が完全になくなるわけではない」
このような意見に見られる「ゼロリスクバイアス」について解説。
原因と対策とあわせて、ぜひ最後までお読みください。
ゼロリスクバイアスとは?
リスクを完全にゼロにする事に固執した結果、より重大な他のリスクに注意を払えないこと。
感染者や発がん性物質などが例。
私たちは絶対量のリスクを下げるより、小さなリスクでもゼロにすることを求める傾向にあります。
そして可能性の問題より、「リスクかリスクでないか」の二分法で考えてしまう。
ただ、リスクゼロを追求するデメリットは以下。
- 他のリスクを下げるより、コストが多くかかる
- 他のリスクが相対的に上昇し、結果的に被害が大きくなる
- 手段が目的化する
【ゼロリスクバイアス】原因
事例として、コロナウイルスへのワクチンで考えてみましょう。
ワクチンを打った結果、感染してしまうリスクをゼロにしたいなら、「ワクチンを打たない」となります。
ただその結果、重症化、他の人に移す、後遺症などのリスクが高まります。
ゼロリスクに固執した結果、最終的には他のリスクを抱え込んでいます。
なぜ、人はここまでリスク(損失)に固執するのか。それは、人類の長い歴史では命取りになりかねないから。
そして、その時に理性的判断が難しい理由は、「リスクをいちいち考える」余裕がなかったから。
大型動物や他の部族との接触において、「逃げるほどのものか」とリスクをいちいち考えていたら、命を落としかねません。
まずは、直感的に行動に移した方が、結果的に大事でなくても命は助かる。
「不安」と感じると、理性的な判断や他の可能性は考えにくくなっています。
【ゼロリスクバイアス】対処法
まずは、「リスクはゼロにできない」と自覚すること。
- 実際、リスクをゼロにするのは不可能だから
- ゼロにしていく過程で他のリスクが浮上するから
- 結果的に被害を増やすかもしれないから
理由は上記。その上で、リスクがどの程度のものかを見極め、柔軟に対処していく。
- 官公庁など、信頼できる機関の数字、データを集める
- 類似の事例で、リスクを相対化する
- 本来の目的から逆算する
例えば、上記。
特に本体の目的から逆算すると、「リスクをゼロにすること」は必ずしも最善策ではない。
そして、趣旨から外れていることもあるではないでしょうか。
【ゼロリスクバイアス】まとめ
そもそもリスクは「起きたときの影響力」と「起きる可能性」で規定されます。
実際に出来事が発生しても、影響力がそこまで大きくなく、起きる可能性自体が小さいものはある。
ではなぜ、科学的検証や数字、データで人々は安心しないのか。
それは、知りたいのが何%という確率ではないから。
自分が安全(リスクがない)か自分が危険(リスクがある)か、どちらにいるかの方が重要。
自分が知りたいのは、飛行機事故に遭遇する可能性ではありません。遭遇するかどうかです。
ただ、当たり前ですがそんなことは誰もわからない。
飛行機事故に遭う確率をゼロにするなら「家に出ない」になりますが、今度は強盗に押し入られるリスクを背負い込みます。
このようにキリがないので、「ゼロリスクは諦める」という選択肢を選ぶことで、他の選択肢も考えることが出来てきます。
では、また。