- 「それは絶対におかしい」
- 「常識的に考えて」
- 「ズレてるよ」
以上のような文言に見られる「偽の合意効果」について解説。
「自分は多数派と思っていたのに、実は少数派だった」という勘違いを見直すきっかけになる概念です。
対策とあわせて、ぜひ最後までお読みください。
偽の合意効果とは?
自分の考えや行動が、正常かつ多数派であると錯覚する心理的傾向。
1970年代にアメリカのスタンフォード大学の社会心理学者であるリー・ロスが提唱しました。
自分の推測に客観的な統計的データはない。しかし、「自分以外の大勢の人の合意がある」と錯覚する。
主なデメリットは2つ。共感の欠如を引き起こす点と、考えの押し付けに発展する点。
偽の合意効果は、個人より大きな集団であるグループで、自分の考えが一致した際に大きくなり、外部と交流機会がないと増幅されやすい。
そして、自分の考えに確証を強く持つと、相手を非難する(相手が間違っている、知識が十分でないなど)傾向にある。
【偽の合意効果】実験
提唱者であるリー・ロスが行った実験に、サンドイッチマンを使ったものがあります。
サンドイッチマンとは、広告の看板を持って街に繰り出す人のこと。
被験者は、サンドイッチマンを「するかしないか」をまず選択します。
その後、実験者は、「他の人はどちらを選択するだろうか」を尋ねました。
すると選択した人→同じように「する」を選択するだろうが6割。
しないと選択した人→同じように「しない」を選択するだろうが7割。
どちらも過半数を超えました。
The “False Consensus Effect”: An Egocentric Bias in Social Perception and Attribution Processes
上記の論文の研究4に、詳細は記載。
【偽の合意効果】対策
対策は以下の2つ。真偽を確かめること、批判的思考(クリティカルシンキング)を意識することです。
真偽を確かめる
まずは「本当にそうか」。事実の確認を優先します。
- 相手への確認
- 客観的な数字やデータをもとに判断する
- 反対意見を集める
例えば、上記。何より、自分以外の意見を集めましょう。
批判的思考(クリティカルシンキング)を意識する
批判的思考とは
「本当に正しいのか」「別の見方はないか」という客観的視点で物事を吟味し、そこで出た結論や判断に自ら疑いを持って、結論や判断の精度を高めていく思考法。
一言でいえば、前提条件が正しいか、疑う思考様式です。
「こうではないか」と考えたら間髪をいれずに「本当にそうか」と疑う癖をつけましょう。
その際、「メタ認知」と呼ばれる、自分の考え方や判断を客観視すると効果的です。
【偽の合意効果】まとめ
偽の合意効果は、自分を安心させる脳の癖の1つ。
自分のアイデンティティのために、多少はマイノリティの考え方を持つことは、必要かもしれません。
しかし、何から何まで特殊では、安心感を得られない。
「根拠はないけど、他の人もそうだろう」と錯覚する癖は避けられません。
ただその考え方を絶対視しては、他人との関係構築に、齟齬をきたしていきます。
「絶対的な価値観というものは存在しない」という自覚のもと、自分の意見や考え方を発信していく。
そこから、対話や相手の受け入れにつながっていくでしょう。
では、また。