勉強はできても、教えることが下手な人によく見られる「知識の呪縛」について解説。
対策案と併せて、ぜひ、最後までご覧ください。
知識の呪縛とは?
一旦ある事柄についての知識を持つと、その前(知識をもっていなかった時)の状態がわからなくなること。
知識の習得が心理的にその人の自由を奪います(呪縛)。背後にある原因としては、「皆、これくらいは知っている」という思い込みが原因。
例えば、物事を理解しているのに、教えられないという状態は、「相手がそれを分からない理由が分からない」ことに起因します。
今の小学校低学年の子どもたちの中には、「お釣り」を知らない子がいるらしいです。
その子にとっては、会計を電子マネーで済ませるため、「お釣りをもらう」という現象が発生しません。
小銭は実物にあっても、それを受け取る機会は「現金のみ、クレジットカードのみ」のお店くらいかもしれません。
【知識の呪縛】弊害
一番は、自分の言いたいことが伝わらないことでしょう。
また反対に、相手が欲しがるものと違うものを提供してしまうことも考えられます。
物事を知らないだけならまだしも、「こんなことも知らないのか」「なんで知らないかな‥」と、高圧的な態度に出たり、意気消沈したりします。
これは自分がストレスを抱えると同時に、相手も「知っている前提で話されても困る」と鬱憤が溜まることでしょう。
事実、1990年にスタンフォード大学で行った実験では、あるリズムを鳴らす人は、50%の割合で「曲が当てられる」と予想していたが、実際は2.5%だったという結果が出ています。
リズムを鳴らす本人は予備知識があり、リズムと曲の結びつきが自明だが、予備知識がない相手からするとほとんど理解できない、となります。
【知識の呪縛】対応案
対応案は3つ。
- その人に向けた例を用いる
- ペルソナ設定する
- メタ認知を鍛える
順番に見ていきます。
その人に向けた例を用いる
ある程度の仲、関係値がないと難しいですが、その人の趣味や興味のあるものに置き換える。
バラエティ番組の『アメトーーク! 』では、MCである蛍原さんがオタクでもある芸人さんに色々と熱量をもってプレゼンされます。
そこで、「どういうこと?」となると蛍原さんがわかる話、競馬やゴルフに置き換えられ、話の難易度や複雑さが咀嚼されて理解されます。
単純に置き換えられないこともありますが、「自分の抽象→相手の具体」とすると、伝わりやすいです。
ペルソナ設定をする
ペルソナとは?
マーケティング用語で、商品・サービスの対象となる架空のターゲット。
より細かくターゲット(使用者)を洗い出します。
「40代男性」→「〇〇に勤め、最終学歴は〇〇、家族構成は〇〇で年収は〇〇円など」。
その人はおよそ、こういう生活パターンで、付き合いもこのような人が多いだろうから、このような認知(物事の受け止め方)パターンを恐らく持つだろう。
そこからここまで説明する必要があるな。どこをアピールすれば、相手に刺さるな。と逆算できます。
徹底的に「相手はどのような人か」を追求することで、必要な情報が精査されます。
メタ認知を鍛える
自分の認知を捉える。つまり、自分がどう感じるか、どう判断するかを自覚します。
「私はこれを知っているから、〇〇を説明できる。ただこの人は知らなさそう。なら〇〇から説明するか」と、上記の項目と同様、相手に寄り添えることができます。
メタ認知を鍛える質問集
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/01/50.html
【知識の呪縛】まとめ
なぜ大手企業が高いコンサルティング料を支払って外部を入れるのか?
1つに依頼した企業の慣習や風土、価値観に左右されない一種のノイズを入れることで、より開けた解決案が出てくるからです。
これは知識の呪縛(この業界に身を置くなら知ってて当たり前)に陥っている状態に、「いやいや全然当たり前ではない」と言える第三者(知識の呪縛に陥っていない)を入れることに他なりません。
知識の呪縛は、自分の常識と相手の常識のぶつかり合い。妥協点を探ったり、より良い案を提案するには、自分の常識をどこまで相手とすり合わせるかでもあります。
その際に、知識の呪縛を意識して、話し合いをすれば、より建設的なものになるのではないでしょうか。
では、また。