- 「やっぱりね」
- 「だから言ったのに」
- 「あの人は〇〇になると思ってた」
失敗を後出しじゃんけんのように追及する上司。そんな人に見られるバイアス、後知恵バイアスについて解説。
他に原因と対策について記載しています。ぜひ、最後までお読みください。
後知恵バイアスとは?
「後知恵バイアス」とは、結果が起きた後で、出来事を事前に予測可能だったと考える心理的傾向。
後知恵バイアスに陥ると、事前に知り得なかったことまで、あらかじめ知っていたかのような錯覚に陥ります。
プロセスや過程以上に、結果に印象が左右されている状態です。
デメリットは以下の6点。
- 誤った判断につながる
- 客観的判断ができなくなる
- 評価の公正さを欠く
- 責任回避をつくる
- 失敗を過度に恐れる
- 自分の思い込みを強める
物事を自分の信念に合うように、都合よく認識変化させるので、評価や判断に歪みを持たせます。そして、自分の信念を強化をします。
【後知恵バイアス】原因
原因として考えられるのは以下の3点。
- 記憶の不備
- 失敗回避
- 知識の呪縛
順番に見ていきます。
記憶の不備
人は物事が起こるより前に、自分がどのように考えていたかを忘れがちです。
結果的に以前考えていたことではなく、事実となった出来事から物事を判断してしまいます。
そこには判断材料不足として、物事の背景や隠された原因にまで想像力が働かなかったこともあるでしょう。
ある研究でも、実際に起きた出来事は以前から予想していたと答え、起こらなかった出来事は、以前から予想していなかったと答える実験者が多かった。
失敗回避
未来での物事が自分の想像と外れると、自分の判断が間違っていたことになるので、その苦痛を避けるために後知恵バイアスが生じます。
そもそも人は自分が考えていることを間違ってないと思いたい。
事実、認知心理学では、人間は直観的に信じたものを「これは正しい」と思いこみたい傾向を持つといます。
事実が明らかになったとき、原因は物事が進行しているときより、はっきりしていることが多いので、「やっぱりAはBだった」と直観的な結びつきを考えてしまいやすい。
知識の呪縛
いったん知識を持つと、持っていなかったときの状態を想起するのが難しくなることを心理学用語で「知識の呪縛」と呼びます。
人に教える(教わる)とき、「わからないという状態がわからない」。なぜ「こんなこともわからない」のか、と思ってしまう。
このとき、相手にしろ自分にしろ理解できない人について、心の状態や状況は判断しにくいです。
とはいえ、想像力不足の自分を肯定するのは苦痛が伴うので、これに先ほどの「自分が正しいと思いたい」が加わることで認識を歪め、後知恵バイアスが生じます。
【後知恵バイアス】対策
対策として考えられるのは、以下の3点。
- 存在の認識
- 当事者意識を持つ
- 結果重視を捨てる
順番に見ていきます。
存在の認識
後知恵バイアスがあるということを認識する。
人は結果に流されやすく、後出しじゃんけんをしてしまう傾向にあることを自覚します。
他人で「だから言ったのに」や「やっぱりそうなるよね」と言いがちな人に対し、「結果重視じゃない?」「こうなったかもしれないね」とアドバイスしていく。
「やっぱりこうなったか」「そうなるとは思っていたんだよね」と自分が口癖で言っていたら危険信号です。
当事者意識を持つ
後知恵バイアスで誤った判断や評価をしてしまうことは、自分個人や集団にとってデメリット。
結果に対して「だから言ったのに」「まあ、そうなるよね」というのは簡単です。
自分も当事者意識を持って、責任の一端を担えば、責任の擦りつけも起きにくいでしょう。
結果重視を捨てる
後知恵バイアスは「結果」を重視しがちです。
- プロセス、過程に問題はなかったか
- 他の結末になった可能性はないか
- 運や確率の要素がどれほどだったか
運の要素が大きいなら、当人ではどうにもできません。
上記の要素も考慮に入れると後知恵バイアスは軽減できます。
【後知恵バイアス】まとめ
他の可能性を考え、結果偏重の考えから脱却する。そこに次に向けての改善策が隠れています。
「やっぱりそうだった」「だから言ったのに」では、因果関係がそれしかないと思いがちで、思考も発展していかない。(他の原因を考えにくい)
後知恵バイアスには責任回避の側面もあるでしょう。関わると、自分も責任を負うことになってしまう。
離れたところから状況を傍観し、「自分の思い込みが正しかった」と後出しで言う。
自分の自尊心は保たれますが、それを言う自分はもしかしたら、自分が嫌う上司に似通うかもしれませんね。
では、また。