柔軟な発想を阻害する「機能的固着」と呼ばれるバイアスについて解説。
具体例とあわせて、ぜひ最後までご覧ください。
機能的固着とは?
物や道具に対し、すぐに思考として取り出される機能(用途)に固着する(縛られる)あまり、別の発想が思いつきにくくなること。
モノに期待される役割を越えた使い道は考えにくい。ハサミは普通、切る以外に使おうと思いません。
当たり前といえば当たり前なバイアスですが、創造力を働かせる上で「機能的固着」は障害となります。
【機能的固着】具体例
ドイツのカール・ドゥンカー博士が行った「ロウソク問題」という実験があります。
引用:ResearchGate
図の道具だけで「壁にロウソクを立てる」という課題。
引用:ResearchGate
この問題に苦戦するのは、箱を通常、「何かを入れるもの」と考え、「何かを乗せるもの」とは用途を思いつきにくいから。
別の参加者群は、箱の中身を取り出した(B)が、最初の参加者群より高い正答率を出した。
それは箱を「何かを入れるもの」として認識する度合いが弱くなり、「別の用途に使うのでは?」という疑問を促しやすくなったからと考えられる。
メイヤーの2本のひも問題
両手を広げては届かない、天井から垂れ下がる2本の紐を同時に掴んでもらう課題。
道具としては、紙、椅子、ペンチがあります。
回答は上記。普段我々は、ペンチを「何かを挟むもの」として捉えているから、「重り」として使うことを思いつきにくい。
【機能的固着】まとめ
機能的固着の教訓は、「従来の慣習を見直すことで、別の選択肢を見つける」ことにあると思う。
モノに限らず、「従来の用途以外の使い道はないか」「代用できないか」を考えることは、価値の再発見にもつながります。
そして、柔軟な発想を縛るという点で「知識の呪縛」という同じような認知バイアスもあります。
これら認知バイアスは消去こそできませんが、低減したり自覚的になったりすることはできます。
常日頃触れる情報や規範も、おいそれと受動的に受け入れるのではなく、批判的にも見る視点が必要でしょう。
では、また。