「あるブランドの商品を買ったら、次第にそのブランドの物が溢れていた」。
こんな体験に潜む「ディドロ効果」について解説。
その理由や対策についても解説しています。ぜひ、最後までお読みください。
ディドロ効果とは?
今までの生活環境にない理想的な価値を持つ商品を購入すると、その価値に合うように所有物や環境、雰囲気を統一したくなる心理効果。
フランスの思想家、ディドロにちなんでカナダの文化人類学者グラント・マクラッケンが命名しました。
エッセイ内の『私の古いガウンを手放したことについての後悔』で、彼はプレゼントされたガウンに合うよう、家具や部屋の雰囲気を新調していきました。
- インテリア展開(このような部屋に住みたい)
- シリーズ商品(この〇〇味を食べていないのは気持ち悪い)
- スマホゲームの課金(同じレアリティで揃えたい)
具体例として挙げられるのが上記。
1つだけ今の理想状態に合うものを抱えていると、周りも揃えないと気持ち悪くなる。
【ディドロ効果】理由
理由として考えられるのは以下の3つ。
- 一貫性の原理
- アイデンティティの表現
- ツァイガルニク効果
順番に見ていきます。
一貫性の原理
一貫性の原理とは
自分の発言や行動、態度、信念を一貫したい心理
「理想的な物を持っている」という状況に対し、一貫性のある行動を取った結果、その品物に合う商品を次々と購入してしまう。
見た目や雰囲気が統一したものであれば、自分にとってもおさまりがよく、相手にも好印象を持たれやすい。
ツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果とは
完了した事柄より、まだ完了していない事柄の方が気になり、記憶に残りやすい心理傾向。
「CMのあとで」やドラマの次回予告に使われる手法ですが、ディドロ効果にも影響を及ぼします。
「統一感」という完了した状態になっていない状態(未完了)は強く記憶に残ります。
アイデンティティの表現
持ち物や身の回りの環境で、「自分はこのような人間である」「自分はこのように思われたい」という表現に繋がります。
しかし、統一後のイメージが自己表現につながるか(世界観が好きではなかったなど)かはわかりません。
【ディドロ効果】対策
企業戦略で考えられるのは、一部を安くするかまたは無料で提供することで、そこだけ豪華なことと他がみずぼらしいことにギャップを生じさせる。
- 世界観やブランドポリシーの表現(こんな部屋に住んでみたい)
- セット購入、シリーズ化による商品を設計(古くなっても同じブランドで揃えたい)
- 次回以降も購入したくなる仕掛けを施す(1回で終わられたら困る)
その他に上記。
消費者側は、「まず統一する必要があるか」を考える。
雰囲気に合うように揃えないと気持ち悪さがあるなら、「統一の手段がそのブランドに限られるか」を考える。
もちろん親和性が高いのは、同ブランドの商品でしょう。
ただ色、機能性、デザイン等を細かく見ていけば、そのブランドより条件に合致する商品も候補として出てくる。
企業も使う消費者の属性(年齢、性別)などを考えて類似商品を設計しますが、そこに当該消費者との間にギャップが存在するのは避けられない。
その意味でも、「どこまで揃えられればいいか」の最低限でも欲しいラインを見つけていくのも有効になっていくでしょう。
【ディドロ効果】まとめ
ディドロ効果のデメリットは「消費のスパイラル」に陥ること。
「自分の中の理想状態」という抽象概念を追い求めるあまり、1つ1つの物に向き合えないかもしれません。
一番に自分に合う物や環境を整備しようと頭を捻るのに、個々の所持品には目を向けられないという皮肉。
そこから抜け出すには、物やブランドで自己を表現しようとするより、人間本来の気質や性格で自己表現した方がよいかもしれません。
では、また。