大勢の人の前でのスピーチやプレゼンで、「過度に注目されている」という錯覚を引き起こすスポットライト効果について解説。
対応策と合わせて、是非最後までお読みください。
スポットライト効果とは?
人は、自分の行動や外見を注目する人が実際よりも多いと思い込む傾向。
人は社会的なスポットライトが、実際よりも自分を明るく照らしていると思いがちです。
自分にとっては非常に恥ずかしい経験でも、他人はそこまで気にしていない。また自分では誇らしいと思う業績も、思うより評価されません。
- 「自分のことを笑っているに違いない」
- 「私に向けて暴言を吐いているに違いない」
- 「今日の出来からすると、自分のミスを指摘されるに違いない」
スポットライト効果の影響を受けやすい人は、例えば、上記のような被害妄想に取り憑かれます。
疑心暗鬼からどんどんネガティブな思いが膨れ上がり、心身に異常をきたす。
またスピーチやプレゼンなどで些細なことが気になり、思うような実力を発揮できない原因になる可能性もあります。
【スポットライト効果】実験
対象者には、恥ずかしいと思われるTシャツを着てもらい、他の参加者が集まる部屋に一瞬だけ入ってもらいます。
被験者には、自分のTシャツに気づいた人の数を推定してもらい、その推定値と実際に気づいた人の数を比較しました。
結果、対象者は観察者が自分の外見にどの程度注意を払っているか、過大評価していました。
引用元:https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.322.1736&rep=rep1&type=pdf
以上のグラフは、ターゲットのTシャツに描かれた人物を識別できた観察者の割合の予測値と実測値を表したものです。
コントロール1の参加者は、ターゲットのTシャツに描かれている人物が識別できる人数の推定。
コントロール2の参加者は、ターゲットのTシャツに描かれた人物を特定できる人数を推定しています。
【スポットライト効果】対応策
「人の目を気にしてしまう」こと自体は避けられませんが、影響を小さくすることは出来ます。
当人に尋ねる
- 「どう見られているか」
- 「どう思われているか」
- 「どう評価されているか」
当人に確認できる間柄であれば、確認することがてってり早いです。
実験結果から、人には自意識過剰な一面があることは示唆されました。
自分の予想と一致する確率は低いと判断し、「どうしましたか」「どうでしたか」「〇〇してた?」などと尋ねましょう。
指摘してもらう
スポットライト効果が自分にとって不利益となる場面は、どういった状況でしょうか。
近親者(家族や知人)に「それおかしいよ」と思われることではないでしょうか。
ただ、相手は気づいていても「言えないな」と思うことはあるでしょう。
なら、積極的に自分にフィードバックしてもらうよう、どんどん指摘してもらえる関係値を築くことが解決策の1つです。
「知り合いだけならまだしも、社会に出て恥をかきたくない」となれば、一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
慣れる
先に挙げた論文では、「どのような状況であれば、人は自分にスポットライトが当たっているように感じないのか」について述べられています。
論文によると、それは行動が日常的で自動的な場合。つまり、自分ではまったく意識していないが、他人にはかなり目立つ行動をとっている場合です。
例えば、喫煙者はその習慣が他人にとってどれほど実害があり、厄介なものであるかを過小評価しがちです。
それは、習慣的に頻繁にタバコを吸い、それは無意識の行動であることが多いからです。
重要なのは、行動が日常的で自動的という点にあります。
プレゼンやスピーチなどの場面で、その行動が「日常的で自動的」になれば、スポットライト効果は発生しにくい。
そこまで落とし込んでいる段階というのは、場数を踏んでもはや「慣れている」という状況といえるでしょう。
【スポットライト効果】まとめ
人は社会的動物(個人だけではなく、絶えず他者との関係において存在している)です。
他人の行動を真似たり、反面教師にしたりするために、「自分の行動が他人からどう見られているか」を気にしないことは不可能。
ただ些細なことを気にして、自分の個性を出せない(無難に落ち着く)のもそれはそれで味気ない。
- 「こう思われていないかな」
- 「こんな姿は見せられない」
- 「こう考えているに違いない」
以上のように思ったら、「本当にそうか」を確かめていく。
「そんなことない」と相手に言われたり、「多分違うな」と言動を見て判断できれば、それが積み重なって、「意外と被害妄想だった」となるかもしれません。
私個人としては、一時の恥の感情で済むならそれまで。尾を引きそうな行動は控えるようにしたいと思います。
では、また。