「ここまで分析したから、必ず賭けに勝つだろう」。
このような発言に見られる「コントロール幻想」というバイアスについて解説。
原因や注意点と合わせて、ぜひ、最後までご覧ください。
コントロール幻想とは?
自分のコントロール外の出来事も、「制御可能で影響を与えられる」と考える心理的傾向。
- 雨男、雨女
- 自分の中のジンクス
- 宝くじで大型当選の店に行く
- パワースポットにお参りする
例えば上記。
当選率は変わらず、安産や無病息災、受験合格ついては、自分は影響の及ぼしようがない。
【コントロール幻想】原因
では、なぜ自分の影響力を及ぼせないものまで、影響力を与えられると思うのか。その後のことを考えれば、わかります。
自分を仮に雨男(雨女)とした上で、大事な日に雨が降った状況と雨が降らなかった状況の2つを考える。
雨が降った
雨男(雨女)だからしょうがない。「そんなもの」と納得する。
雨が降らない
ラッキー、今日は運がいい、そもそも何も思わない(嫌な状況ではないので)
共通点は、「理由は何でもいい」と「ひとまずもやもやが解消されている」という2点。
- 納得する
- 心の平穏を保つ
- これ以上考えたくない(一旦ストップ)
理由はどうであれ、上記のような状態に持っていければいい。
大事な日に雨に降られ続けるのは、基本納得できない。ただどうすることはできない。
でも世間には、晴れ男、晴れ女が存在する。その不平等に理由がないのは、納得できない。
だから、何かしら因果関係があると考え、理由を考える。
【コントロール幻想】注意点
問題となるのは、相手に「自分が納得して答えを出した」と思わせられることです。
「パンフレットにある数多くの候補から、自分の納得できるものを選んだ」。
この一文の違和感がわかるでしょうか。
それは、数多くの候補自体は自分のコントロール外の出来事なのに、そこに正解があるとして結論を出していることです。
そこには「そもそも、ここから選ぶ必要があるのか?」という視点が必要です。
- 他者の類似品を検討したか
- ネット通販(店舗販売)を考慮したか
- 相場はそもそもこのくらいなのか
例えば、上記のような検討をしているかどうか。
この場合、「一括でお任せする」以外は、後悔してしまう余地を残しているといえます。
納得するにしても、しっかりとステップを踏んで決断したか、そもそも考えるような問題かを考える1つのきっかけとなります。
【コントロール幻想】とはいえ
どのような結末になろうとも、「納得感」「出来ることはやった」と後悔を生まないためにも、「コントロール幻想」は有用です。
「コントロールできないから、影響を及ぼせない」としても、「〇〇しておけばよかった」になるくらいなら、悩みの種を潰しておく。
気休めでも何でもいい。そのぐらいこれに賭けている。とやかくいうのは、野暮。
まったくの偶然で失敗もあるなら、「それならしょうがない」と後で思えるくらい、準備しておく。
結論としては、自分のコントロール可能な領域の物事に注力すること。
きっぱりと切り分けることで、「やれるべきこはやった」と後悔を減らせます。
【コントロール幻想】まとめ
「コントロール幻想」は思考のショートカットと呼ばれるものの1つ。
脳は基本的に深く考えることを嫌い、もっともらしい理由で済むなら、それで済ませます。
元々脳に備わっている機能の1つなら、我々が考えるべきは、「問題が軽く済ませていいものか、そうでないか」ということ。
ただその前に、自分でコントロール出来るものと出来ないものを分けておく。
でないと、「どう足掻いてもどうにもならないこと」に悩み続けます。
コントロール幻想は、「納得感」を生み出す有用なものであると同時に、考えるべきではない問題に注意を向けさせてしまいます。
コントロール幻想を手放し、さっさと自分のコントロール内の問題に悩むこととしましょう。
では、また。