「誰がこんなプランを検討するんだ」「この選択肢を選ぶ人いるのかな」。
こんな疑問に潜む「おとり効果」について解説。
世の中の販売戦略で用意されている、選択肢の裏側を考えることで、有意義な意思決定に繋がります。
具体例、対策とあわせて是非最後までお読みください。
おとり効果とは?
複数の選択肢に見劣りする選択肢を加えることで、別の選択肢の魅力を強め、行為者の意思決定を変化させる心理効果。
機能面が似るAとBの製品がある。これでは、どちらを選んでいいか購入者は迷います。
そこにCという製品(おとり)を投入する。これは購入させたい製品(仮にA)に比べると全ての面で劣るが、Bと比べると何点かは優れている。
すると、AとCに比べてどちらにも絶対的に優れていないBは選ばれなくなる。
Bを選んで不満となるような材料を残すより、Aを選んでおけば、ひとまず問題ないからです。
また、AとBは機能面で似通う必要はありません。例えば高品質だが高価格と、低品質だが低価格。この比較も購入者を迷わせるでしょう。
その場合、企業は実入りが良い方(薄利多売なら低価格の方)に寄せたおとりの選択肢を用意すると思われます。
【おとり効果】実験
具体例として、マサチューセッツ工科大学のダン・アリエリー博士の実験を紹介します。
ある雑誌の定期購読で、100人の参加者がどの選択肢を選ぶかを観察しました。
A.オンライン購読、59ドル
B.オンライン購読・雑誌の定期購読、125ドル
この場合、Aは68人、Bは32人。ここにCの雑誌の定期購読である125ドル(おとり)を入れる。
すると、Aが16人、Bが84人、Cが0人(Bを選んだ方がいいため)という結果になる。
明らかに劣るCの選択肢を設けることで、収益が上がる有効な例です。
【おとり効果】対策
実験を踏まえると、私たちは企業が用意した選択肢を、しっかり吟味しているとはいえない。
そもそも自分の求めているものは、相対的です。自分が求めているスマホは、今持っているスマホより、例えば「サクサク動くか」で初めてわかる。
確かにおとり効果でBの魅力は上がったように見える。ただ「Aで十分」ということもありうる。
そこでしっかりと意思決定をするには、「自分はどこまであれば十分か」を把握する必要があります。
まず、それぞれのサービスの単価を計算できるなら割り出す。実験の例ではオンライン購読は59ドル、雑誌の定期購読は66ドルです。
また機会費用という考えも有効でしょう。詳しくは以下の記事にあります。
【おとり効果】まとめ
おとり効果は、複数の選択肢に見劣りする選択肢を加えることで、別の選択肢の魅力を強め、行為者の意思決定を変化させる心理効果。
私たちは、自分達に選択の自由があるように思えて、無意識に誘導されている。
相対性は身のまわりのどこにでもあり、わたしたちはあらゆるものごとを相対性の色メガネでーバラ色だろうがなんだろうかー見ているのだと自覚することだ。
外国やよその土地でだれかに出会い、不思議な結びつきを感じたとしても、その魔法はその環境に限定されたものかもしれないと覚悟しておこう。そうすれば、のちのち魔法が解けて幻滅するような事態におちいらずにすむかもしれない。
『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』
まずは、色眼鏡の自覚から始めましょう。
では、また。