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SNSを開くたびに焦るFOMOとは何か?スマホを置けない本当の理由

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スマートフォンを置いたはずなのに、また手が伸びている。誰かがどこかで楽しんでいるかもしれない。自分だけが話題に乗り遅れているかもしれない。そういう感覚に心当たりがあるなら、それにはきちんと名前があります。

 

FOMOとは何か

 

FOMOとは「Fear of Missing Out」の頭文字をとった言葉で、「取り残されることへの恐怖」と訳される。自分のいないところで、他の人たちが価値ある経験をしているかもしれないという広範な不安を指します。

 

この言葉が学術的に定義されたのは2013年。心理学者のプジブルスキーらが『Computers in Human Behavior』に発表した論文のなかで、FOMOを「他者が充実した経験をしているかもしれないという広がりのある不安であり、他者の動向を常に確認し続けたいという欲求を特徴とする」と記した(Przybylski, A. K., Murayama, K., DeHaan, C. R., & Gladwell, V., 2013)。

 

同研究では、自律性・有能感・他者との結びつきといった基本的な心理的欲求が満たされていないほど、FOMOのスコアが高くなることも示されました。つまりFOMOは、SNSが生み出した新しい感情ではなく、人間がもともと持っている「つながりたい」「取り残されたくない」という欲求が、現代のデジタル環境のなかで可視化されたものといえる。

 

なぜSNSでFOMOは強まるか

 

かつて、自分の周囲で何が起きているかを知る範囲は限られていた。友人が旅行に行ったことも、同僚が昇進したことも、知らなければそれまでだった。だがSNSの登場によって、他者の生活は絶えず目の前に差し出されるようになった。

 

誰もが自分をよく見せて投稿する習慣が定着しているため、タイムラインには実際よりも充実した他者の姿が並ぶ。それを見ている側は「自分だけが取り残されている」「自分だけが何か足りない」という感覚を持ちやすい。確認するたびに新しい情報が更新され、チェックをやめることが難しい人もいる。

 

FOMOはとりわけ孤独感、帰属意識の欠如、承認欲求の不満足と深く結びついている。問題は、FOMOを解消しようとSNSを開くたびに、そのSNS自体が新たなFOMOを生み出すという循環にある。SNSが不安をやわらげるとしても、そのSNSこそが不安の源でもある。

 

FOMOが日常に及ぼすもの

 

FOMOは単なる「気になる」という感情に留まらない。常に通知を確認し、目の前のことに集中できない。直接関係のない情報まで追いかけ、思考の余白が失われていく。話題に乗り遅れないよう予定を詰め込み、疲弊する。

 

興味深いのは、FOMOに駆られた状態では、他者への関心が本物の好奇心ではないという点。その実態は「自分が一人でいたくない」というニーズで、関心のスポットライトは結局、自分に向く。他人の情報を追いかけているようで、誰かのことを深く考えているわけではない。

 

プライベートだけではなく、リモートワークが定着した職場では「自分だけが重要な議論から外れているのではないか」という不安が生まれやすく、直接関係のない会議にも参加しようとする行動が見られる。情報へアクセスできるということと、心理的な安心感は、必ずしも比例しない。

 

FOMOの先にあるJOMOという考え方

 

FOMOを手放した人はどのような状態にあるか。ひとつの手がかりとして、「何かを作ること」「何かを育てること」がある。成果や評価と無関係に、ただそれ自体のために何かに集中できるとき、人はFOMOから離れた状態にいる。

 

FOMOに駆られているかぎり、趣味さえも「役に立つか」「評価されるか」の文脈で考えてしまう。FOMOの対義語として知られるJOMO(Joy of Missing Out)は、取り残されることを恐れるのではなく、それを受け入れ、自分のペースで今この場所にあることを喜ぶ姿勢を指す。

 

SNSを開かないことで比較から解放され、目の前にあるものに集中できる状態である。だがJOMOは、意志の強さで手に入れるものではない。FOMOが「つながりへの欲求が満たされていない状態」から生じるなら、必要なのは、オフラインでの充足感を育てることにある。

 

FOMOを知ることから始まること

 

FOMOという言葉を知ること自体に、一定の意味がある。あの落ち着かない感覚には名前があり、メカニズムがあり、自分だけが感じているわけではないとわかるだけで、少し距離を置いて眺められるようになる。

 

SNSを開くたびに焦りを感じるのは、意志が弱いからでも、欲張りだからでもない。「取り残されたくない」という欲求は、人間が社会のなかで生きてきた長い歴史の産物で、まともなものである。だがその感情を、スマートフォンという24時間開き続けている窓が増幅させている。

 

参考文献:Przybylski, A. K., Murayama, K., DeHaan, C. R., & Gladwell, V. (2013). Motivational, emotional, and behavioral correlates of fear of missing out. Computers in Human Behavior, 29(4), 1841–1848. https://doi.org/10.1016/j.chb.2013.02.014*

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