人とのコミュニケーションは難しい、特に人にお願いするときは。
自分の意見を声高に主張しすぎても、敬遠される。とはいえ、自分を押し殺しすぎては、ストレスを抱え込む。
そんな時に役立つ、アサーションというコミュニケーション手法の1つを紹介します。
- アサーションについて
- 自己主張の類型
- アサーションの方法
この記事では、上記の3つに触れています。ぜひ、最後までお読みください。
目次
アサーションとは?
お互いの価値観を尊重しながら、自分の意見や気持ちを率直に主張すること。
「人には平等に自分の意見や要望を意志表示する権利がある」という考えのもとに、適切な自己主張をしていきます。
その際には場の空気を察知し、ふさわしい方法を考えると効果的。
お互いの主張が食い違った際にも、歩み寄りながら落とし所を探っていきます。

アサーションは1950年のアメリカで、心理療法の1つとして誕生。
特に対人関係でトラブルを抱える人へのカウンセリングとして取り入れられました。
60~70年代には、人種差別撤廃や女性解放を訴える人権運動で、アサーティブの考えと行動が広がります。
日本へは、80年代に平木典子氏によって紹介され、教育、医療、ビジネスと幅広い分野で用いられています。
自己主張のパターン
自己主張には3つの類型が存在します。
- アグレッシブ
- ノン・アサーティブ
- アサーティブ
順番に見ていきます。
アグレッシブ(攻撃的タイプ)
自分のことばかり考え、相手のことを顧みないタイプ。
相手の状態や意見を無視し、自身の考え、価値観を押し付けます。
- 態度や声が大きい
- 自分の欠点を隠したがる
- 全体よりも個を優先する
- 強いリーダーシップを発揮できる
上記が主な特徴。

意見をはっきりと伝えることが出来る一方で、周囲から反発を受ける可能性も高い。
ドラえもんでいえば、「ジャイアン」のような存在です。
ノン・アサーティブ(非主張的タイプ)
相手に遠慮して、自分のことを後回しにするタイプ。
自分の意見や感情は押し殺すか、後回しでなるべく相手に合わせようとする。
自分に自信がなく、「間違っていないか」「相手を怒らせないか」を人一倍気にする。
- 物静か
- 曖昧な言い方が多い
- 言い訳が口癖
- 人間関係でストレスを抱え込みやすい
- 人に共感しやすい
上記が主な特徴。
自己主張が少なく、優柔不断に見えてしまう非主張タイプ。
ドラえもんでいえば「のび太君」のような存在です。

アサーティブ(バランス型)
相手を尊重しながら、しっかりと自分の意見や気持ちも相手に伝えるタイプ。
場の空気や相手の雰囲気を察知し、意見が食い違う際には、妥協案や落としどころを見つけていきます。
言葉や態度、表情を使い分けることで、自分も相手も心地よいコミュニケーションを目指します。
- 相手を尊重しつつ、自分も主張する
- 状況を冷静に分析できる
- 誠実、思いやりがある
- 適切な表現を用いることができる
上記が主な特徴。
引くところは引いて、主張するところは主張する。
ドラえもんでいえば、「しずかちゃん」のような存在です。
アサーションを実践する方法
アサーションを実践する上で、意識したいポイントは4つ。
- DESC法
- Iメッセージ
- ABCDE理論
- 言語的・非言語的アサーション
順番に見ていきます。
DESC法
アサーションを体系的に整理したもので、以下の4つ。
自分の意見をしっかりと主張しながらも、相手を尊重しているコミュニケーションといえます。
- Describe(描写する)
- Express(説明する)
- Specify(提案する)
- Choose(選択する)
Describe(描写する)
客観的に自分の課題や相手の状況を観察し、事実を伝える。
Express(説明する)
Describeに対して、自分の意見や気持ちを伝える。
Specify(提案する)
課題を解決するために、解決案や落としどころを提案し、相手への具体的行動をお願いする。
Choose(選択する)
相手が提案を受け入れた場合とそうでない場合双方において、次の選択肢を用意する。
I(アイ)メッセージ
自分(I)を主語として相手に伝える手法。
何で〇〇しないの→(私は)〇〇してくれると嬉しい。
〇〇しておいてと言ったよね→〇〇してくれないと〇〇で困っちゃうな。
お願いする表現を使うと、相手を責めたり、押し付けたりする印象を和らげます。
ABCDE理論
「ABCDE理論」は、自分の物事の受け止め方、感じ方を適切に判断するための理論です。
- A(Activating event) 出来事
- B(Belief) 信念、思い込み
- C(Consequence) 結果、感情、悩み
- D(Dispute) Bに対する反論
- E(Effect) Dによる効果
出来事→結果ではなく、その間に自分の信念や思い込み(Belief)が入り込む点がポイント。
客観的に判断する余地を残さず、自分に独断と偏見しかなければ、どんな意見も否定的に捉えることができてしまいます。
DとEの行動を通じて、客観的で論理的な事実や自分の感情を抜き出します。
言語的・非言語的アサーション
- 表情
- 態度
- 声のトーン
- ボディランゲージ(身振り手振り)
上記の非言語コミュニケーションもアサーションにおいて重要。相手の状況や感情を推察します。

【アサーション】まとめ
アサーションは相手との円滑なコミュニケーションを促すと同時に、自分のメンタルも良くなっていきます。
というのも、自分の意見や考えを客観的に判断することで、自分で自分を騙すことが少なくなっているから。
自分の本当の気持ちを押し殺すと言えないことが言えず、メンタルが悪化していきます。結果、実生活に影響が出てきます。

アサーションを通じて、自分本来の意見や気持ちを主張できれば、「相手もきちんとわかってくれる」と実感できるようになっていきます。
「言ったところでわかりっこない」では、問題解決せず、自分の中で不満を溜め込むだけ。
ぜひ、今回紹介したアサーションの手法を日常生活で試してみてください。
では、また。